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第18回「千葉県そば大学講座」が開催!
投稿者 : sobashogun 投稿日時: 2025-07-28 19:16:29

 7月26日、日本大学生産工学部津田沼キャンパスにおいて「第18回千葉県そば大学講座」が開催された。本講座は、正しいそばの知識と確かな技術の普及を目的に発足し、農林水産省の後援のもと毎年開催されている。そばに関する知識や技術の啓発を通じて地域振興と生涯学習の推進を図っており、これまでの受講者数は延べ38,136名にのぼる。
 第一講座は東京農業大学准教授・笠島真也氏による「美味しいそばは畑から─ソバという植物と育て方の工夫─」。笠島氏は、ソバの基礎情報、日本国内の生産状況、そして自身が取り組んでいる栽培技術の研究成果について講じた。
 日本のソバ自給率は約20%にとどまり、残りの大半を中国やアメリカからの輸入に依存している。また、交付金制度の見直しや猛暑の影響等により、生産環境が厳しさを増しており、収益性の低下から生産量は減少傾向にある。
 こうした状況を打開する手段として注目されているのが、新たな「作型」の確立である。ソバは一見、枝の先まで多くの花をつけ、「枝まで実っている」ように見えるが、実際には下位の節の方が収量が多く、上位になるほど実が減少することが明らかになった。したがって、播種量が過剰になると株が密集し、低い位置に枝が出にくくなって収量の低下に繋がりかねないという。
 さらに、従来のソバは倒れやすく追肥は難しいとされてきたが、現在は草丈の低い半矮性系統の研究が進展している。これにより、追肥による倒伏の問題を克服し、品種改良や施肥設計の新たな可能性が拓かれつつある。
 美味しいソバは、まず畑から生まれるという基本に立ち返る重要性を再認識させられる講義だった。


 第二講座は、「食」としてのそばの美味しさに焦点を当てた「蕎麦加工食品の美味特性の解析」。講師は龍谷大学教授・朝見祐也氏。朝見氏は、そばの物性(食感)を中心に測定し、「三たて(とれたて・打ちたて・茹でたて)」の科学的分析結果を紹介した。
 また、「蕎麦製麺加工の伝統的技法の物性論的解析」として、職人による水回し・こね・練りといった工程を科学的に測定。その結果、これまでの常識が覆される場面もあり、受講者からは驚きの声が上がった。


 昼食休憩を挟んで行われたのは、蕎遊庵当主・根本忠明氏による実技講座「伝統を守り、新たな手法を追求する」。片倉康雄氏との出会いや蕎麦道具へのこだわりを語り、さらしな生一本そば打ちを動画を用いて解説した。
 その後行われたのは、アートそば、フルーツそば(いちご)、二八そばのそば打ち実演。また、蕎遊庵オリジナルの水出しで抽出された鰹節出汁と昆布出汁の試飲もあり、参加者はそばの新たな可能性を五感で体感することができた。


 その後、講座の締めくくりとして学位授与式が執り行われ、学士1名、修士1名、博士1名にそれぞれ学位が授与された。今後は、受講20年で准教授、30年で教授とする構想も進行中であり、講座のさらなる発展も期待される。
 本講座は、そばを「育てる・知る・食す・打つ」という多角的な視点から学べる稀有な機会。学術的知見と職人の技を融合させた内容は非常に充実しており、今後も多くの人々に受講してもらいたい。
 なお、今回の講座はJ:COMチャンネルの「ジモトトピックス」で8月9日(土)~8月15日(金)に放送予定。初回放送は8月9日11:00~、再放送は(土日)11:00/17:00/20:30(月~金)7:00/11:00/20:30となっている。また、スマホアプリ「ど・ろーかる」でも視聴可能だ。


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