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第16回「千葉県そば大学講座」開講!
投稿者 : sobashogun 投稿日時: 2023-08-04 04:54:55

 2023年7月29日(土)、日本大学生産工学部津田沼キャンパス(千葉・習志野市)で第16回「千葉県そば大学講座(委員長・山 憲氏)」が約130人を集めて開講された。同講座は、そば関連の知識やそば打ち技法の普及啓蒙、地域振興策等で、生涯教育の一環として認められ、今回から農林水産省の後援を得た。講座内容は、「ソバの品種について」「曼荼羅蕎麦とは何か」「曼荼羅蕎麦を打つ」「若き蕎麦打ちに学ぶ」の4講座で、モニターを活用して行われた。
「ソバの品種について」は、国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構の森下 敏和氏が講師として登壇し、食用として主に利用されている「普通ソバ」「ダッタンソバ」の2種類について解説(写真1枚目)。植物としての特徴やソバの収量性、育成方法や育成された品種等、森下氏自ら考えたクイズを交えながら講座が行われた。さらに森下氏が北海道農業研究センターで携わった普通ソバ品種の「レラノカオリ」「キタミツキ」、ダッタンソバ品種「満天きらり」らの成分や育成の事例について、知見を語った。
「曼荼羅蕎麦とは何か」は、信州大学名誉教授・井上 直人氏が講義を行った(写真2枚目)。「曼荼羅そば」は、別名「無製粉冷水浸漬胴搗超粗粒麺」。一般的なそばの工程である、ソバの実を石臼で製粉することはせず、杵で搗(つ)いて細かく砕く「胴搗(どうづ)きそば」だ。また曼荼羅そばの由来は、出来上がったそばに浮かび上がるソバの粒の断面が曼荼羅図にある△図像に見えるため、曼荼羅蕎麦と命名された。井上氏は、胴搗きそばをつくる上で欠かすことのできない「茅野千本杵搗き機」を開発し、特許を取得している。講義では、ソバの実を製粉することによる風味の低下や製粉後の時間経過による油臭の増加、香りを高めるための寒晒しによる熟成について解説。さらに人力ではできない石臼による製粉と職人による手捏ねを併せ持った胴搗きの利点についても説明した。日本、海外で活用されている胴搗きの道具、胴搗きでつくられた料理の他、胴搗きそばを提供しているお店等、普段では知ることができない情報が盛り沢山。
「曼荼羅蕎麦を打つ」では、全麺協6段(蕎士)の原 秀夫氏が実際に曼荼羅そばを胴搗きから切りまでの実技をしながら、解説する(写真3枚目)。「曼荼羅蕎麦とは何か」で講義した井上氏も補足説明をする等、アシスタントとしてサポートした。曼荼羅そばは丸抜きしたソバの実に、加水をしながら、胴搗き機が捏ねながら強く搗くことで粘りが出て生地状にまとまる。風味とつなぎを両立するために、寒晒ししたソバを胴搗きしつつ、さらにレンジでチンして蒸したソバを共つなぎとして混ぜ合わせて搗くことで粘性を高め、つながる麺に仕上げる。胴搗き機で水回しと捏ねが完了しているので、後は搗いたソバの形を整え、一般的なそば打ち同様、延し、たたみ、切り、茹でを行えば完成する。講座では水分量が適切でなかったため上手くまとまらないというハプニングもあったが修正して完成。切りの工程まで行われた、曼荼羅そばには赤いソバの粒が浮かび上がっていた(写真4枚目)。
「若きそば打ちに学ぶ」は、信州伊那そば研究会に所属する下平 彩楓氏が二八のそば打ちを実践(写真5枚目)。下平氏は20代のそばパティシエで、現在は地方のそばイベントに参加している他、ソバの実を使ったそばスイーツを開発、また地元である長野県で高校生のそば打ち講師としても活動している。様々なそば打ちから技術を取得し、自分に合ったそばの打ち方を探しながら身に付けており、いまなお成長し続ける若きそば打ちなのだ。下平氏がそばを打つ傍ら、全麺協理事の井 敏朗氏が下平氏の水回し〜切りまでの工程を解説。水回しの回し方や捏ねにおける重心の位置や姿勢、延し、四つだし作業における麺棒の使い方等、一挙一動に注目し説明を行った。さらに下平氏がそば打ちの技術を学んだ南信州の作法や流派についても言及している。また、下平氏のそば打ち工程における受講者からの質問にも応対した。受講者は下平氏の技術はもちろん、学びを実践する姿勢に感銘を受けた。
 最後は、今回のそば大学講座の受講で博士(10回受講者)・修士(7回受講者)・学位(5回受講者)の授与式(写真6枚目)が行われた。学位授与者は、博士が3名、修士が7名、学士9名だった。
 次回の第17回「千葉県そば大学講座」は、2024年7月27日(土)に開講する予定。予備日は8月3日(土)を予定している。会場は第16回「千葉県そば大学講座」と同じ、日本大学生産工学部津田沼キャンパス。受講料は6,000円(昼食付き)の予定。そば大学講座の後に行われる懇親会の料金は5,000円。講座の内容だが、座学は講座内容、講師ともに現在未定。そば打ちのデモンストレーションは「熟練の華麗なるそば打ちの妙義」。講師を全麺協6段の仲山 徹氏、同じく全麺協6段・横田 節子氏の2名が務める。第16回「千葉県そば大学講座」同様、そばの知識はもちろん、そば打ちの技術を目で見て学ぶことができる貴重な講座となることだろう。


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